コロナ前まで東京23区で賃貸マンション住まいを続けていた自分が、コロナ禍を機に野山に囲まれた比企郡の中古戸建てに移ってもうすぐ3年。
これまで3回に分けて移住までの経緯をお話してきました。
↓ 過去の記事 ↓
【第1回】
【第2回】
【第3回】
そして今回は完結編として、都心から地方への移住に際し「これは気をつけた方がイイ」と思うことを7つ、ご紹介できればと。実際に移住を経験した上で感じたことなので、受け売りではなく現場の生の声として、多少なりともお役に立つのではないかと。
1. あまりにも山奥・集落など、田舎過ぎる場所は避ける。
2.「リフォーム前提で」とあらかじめ決めておけば、物件選びも迷いが少なくなる。
3. 内見の際は、「傾き」「雨漏り」「シロアリ」、この3つを最低限確認する。
4. 前所有者に、「自治会活動」「害虫の有無」「外壁塗装の年数」、この3つをあらかじめ聞いておく。
5. 地域の古参住人、有力者とできるだけ早い段階で知り合いになっておく。
6. 冬の寒さは覚悟すべし。暖房器具は、ガス、電気、灯油など、複数のエネルギーを使えるようにしておくこと。
7. 害虫対策は怠りなく。
それでは、一つずつ見ていきましょう。
1 田舎過ぎる場所は避ける。
一口に地方、田舎と言っても、範囲がボンヤリとしていて幅が広すぎますよね。
私が快適に過ごせると思う地方の定義とは…
・ある程度家が立ち並ぶ
・少なくとも自転車で行ける距離にコンビニやスーパー、郵便局がある
・駅近であれば、なお可
コレです。
家がポツポツとしかない場所、それこそポツンと一軒家のような場所であれば、タダ同然で古民家を手に入れることができるかもしれません。費用を最優先に考えると、このような格安物件に飛びつきがちですが、濃密すぎる(?)人間関係で後々苦労する可能性が高いです。普通に考えて、近くに住んでいる人が少ないわけですから、その限られた人間関係に縛られがちとなるでしょう。
また、物件探しをしていると、地方では「最寄駅まで車で30分」という物件がゴロゴロあります。むしろ、駅まで徒歩〇分という表記の物件の方が少ないと感じます。こちらでは家族の人数分だけ車を所有するのは普通の光景ですので、駅から遠くてもだいたいのところ不便はないかもしれません。でも、駐車スペースなどの関係から一台しか持てない場合もあるでしょうし、不測の事態も想定すると、やはり自転車で行ける距離に最低でもコンビニは欲しいところです。
駅近という条件も同じような意味合いになりますが、それに加えて駅に近いと友人が遊びに来やすくなるというのはあると思います。
2 物件は、リフォーム前提で選ぶ。
これは東京のような都会に住んでいる時にも言えることですけど、引っ越し先の物件選びは、いざ始めるとかなり迷うのではないでしょうか。間取りや日当たり、周りの環境、収納の有無など、それこそ気になる箇所は多いのではないかと。戸建てで、しかも購入するとなればより細かい箇所までチェックすることになるでしょう。
でも地方と言えど、築浅で内装も整っている物件はそれなりに高額です。自分が今回地方の物件を色々と見た体験から言えば、築年数20年~30年程度が狙い目だと感じます。これくらいの年数であれば、家の基礎はまだまだしっかりしていますし、駅に近くても安く売り出されています。とは言え内装は正直期待できず、部分的なリフォームは必須。でも、それでいいのです。どうしても気になる部分だけ直せば問題なし!
実際に、私も引っ越しにあたっては「水回り(台所、洗面所、お風呂のリフォーム」「壁紙、畳と襖、障子の張替え」「外壁ひび割れ補修」、そして「排水パイプの増設」を業者に依頼しました(これらリフォーム・修繕の話はいずれ別の記事でご紹介します)。
このように、あらかじめリフォームを念頭に置いておけば優先事項がそもそも減って物件を決めやすくなります。
3 「傾き」「雨漏り」「シロアリ」を確認しておく。
クロスや畳が古びていても、交換すれば済む話です。しかし、部屋が傾いている、雨漏りがする、シロアリ被害があるなど、交換が効かないような不具合は注意してください。我が家は居間の隅と、二階の一部屋に傾きがあります。それは内見時に気づいておりましたが、居間の隅で過ごすことはほぼありませんし、二階のその部屋も物置にすればいいと考えていたので、そのまま契約を進めたのでした。なお、家が傾く原因について、業者さんから聞いた話があり、実際にその対策を施しました。これもいづれ記事にしたいと思います。
雨漏りは、天井を見ればシミになっている箇所、カビているような黒ずみがあるので分かりやすいですね。ただ、シミがあっても前オーナーさんがすでに対策済みの場合もあるので、聞いてみると良いでしょう。
シロアリは、地方の物件あるあるですよね。「シロアリ対策済み」と物件案内に謳っている場合もあり、何も記載がない場合はやはり不動産会社に要確認です。
4 前オーナーに色々と聞いておく。
何しろ、見える景色はビルばかりだったのが、畑や山ばかりになって環境は激変するわけです。ですので、思いがけないことが色々と起こる可能性があり、契約前の顔合わせの時など、できるだけ早い段階で前所有者さんに気になることを聞いておくと、後で役に立ちます。
私が気になっていたのは、まずは自治会のことでした。入った方がいいのか、どんな活動があるのか、会費はいくらほどか、一通り聞いてみました。そして、私は実は虫嫌いでして(恥)、どんな虫が出るかも聞きました。返ってきた答えは、「ムカデが家の中に入ってくるから、白い粉を家の周りに撒くといい」。ムカデというと、ワンパンマンに出てくる「ムカデ長老」くらいしか思い浮かばない自分としては、住み始めてから「あのとき聞いておいて良かった!」と心の底から思いました(苦笑)。
あとは家の補修のことでしょうか。具体的には外壁塗装についてでして、これも後で知ったことですが、戸建ての場合は7~10年おきくらいに外壁を塗り直す必要があるとのこと。ネット情報によると、手で触った時に白い粉がついた時が塗り直しの時期らしいのですけど、触ってみても自分では判断がつかず…。前回塗ったのはいつだったか、これもオーナーさんに聞いておけば良かったと今も後悔しています。
5 その土地の中心人物と知り合いになっておく。
「中心人物」と言うと少々語弊がありますが、要はその土地にずっと住んでいて、地域のことをよく知っている人物と仲良くなっておくと良い、という話です。そういう人は顔が広いので、その人と仲良くなっておくと自然に他の人とも知り合いになれますし(←ココ重要)、周りのお店や病院のことなど色々と教えてくれます。私は移住してすぐ、フトしたことがきっかけでドンピシャの人と知り合うことができ、本当にラッキーでした。
6 エネルギー源はできるだけ多く確保しておく。
夏はまだいいとして、問題は冬です。中古物件は隙間が結構あって、特に地方は周りに遮るものが少ないためか風が強い日が多く、ヒジョーに寒いです。ホームセンターへ行けば隙間対策の道具は売られているものの、面倒くさがりの私は何も対策をしておりません。環境がそうである上に、ガスが都市ガスではなくてプロパンガスであり(プロパンは総じて高い)、電気代も含めて光熱費が東京に住んでいた頃の2倍になりました(大汗)。
追い打ちをかけるように、この冬はウクライナ危機の影響もあってエネルギー価格が上昇し、電気代もガス料金も爆上がり。灯油だけはほぼ例年レベルの価格が維持されていたので(若干は上がりましたけど)、エアコンとガスストーブの使用は控え、石油ストーブを暖房の中心に据えました。
周囲を見ていると、暖房はエアコンか石油ストーブを使っている人が多いように感じます。あとは薪ストーブですね。そういう家に入ったことがありますが、めちゃんこ暖かい。新築であれば薪ストーブやソーラーパネルも設置したでしょうが、中古の格安物件ですので、贅沢は言えません。
このように、地方の中古戸建に住もうと思うなら、光熱費を高めに見積もっておくことと、社会情勢の変動に耐えられるように、エネルギー源は多く確保しておいた方が良いです。ちなみに我が家の場合は、ガスストーブが使えるように床に穴をあける工事を早い段階で行いました。
7 ムシ対策は万全に。
「虫嫌いなのに田舎に住むなんて…」という声も聞こえてきそうですけど、自分が住んでいる場所に限って言えば、要警戒なのはムカデとハチですね。
ムカデについてはあらかじめ前オーナーさんから聞いておりましたので、心の準備はできておりましたし、対策用の白い粉も家の周りにまきました。しかし、家の中に入ってきました(トホホ)。粉を撒く時期を失敗したのと、忌避剤の種類、散布する場所が適切ではなかったようです。そのほか、アシナガバチ、スズメバチ、そしてもっと大きいハチも庭などで目にしました。移住2年目には、二階ベランダに巣も作られました…。対策については長くなりますので、別の機会にまたお話します。
ムシではないですけど、ヘビ、白鷺、鹿、イノシシ、ハクビシン、そしてタヌキなども出没するようです(ヘビと白鷺は自分でも見ました)。
※
以上、駆け足で7つ挙げてみました。経験上、どれも大事なことだと感じており、いま移住を考えている方の参考になれば幸いです。