前回は、移住先の家を見つけるまでのお話をしました。
↓ 前回の記事 ↓
そこで今回の記事では、「移住にはいくらお金がかかるのか?」という点について、自分の経験を元に紹介できればと思います。
「○○へ移住しました〜」という話はよく聞くものの、具体的にどのくらいお金がかかるものなのかは、なかなか表に出てこない情報です。自分も今回移住するにあたり、目安となる金額を知りたいなと思ったものの、そういう情報は少なかったので、きっとお困りの方は多いはず。
以上のことから、主に表には出てこない経費について紹介致します。
ちなみに、話の元となる私の例を参考までに記載します。
移住先:埼玉県比企郡(築30年 中古戸建 持ち家)※最寄駅 徒歩5分
家族構成:3人家族
移住に際しては、購入ではなく賃貸で住むという選択肢ももちろんあります。
ただ実際に探してみると、都心とは違って賃貸物件自体がすごく少ないですし、見つかっても条件が合うかはまた別問題。急がないのであれば賃貸もアリかなと思う一方、自分はスピード重視でしたので賃貸は外しました。
東京から地方に移住する場合の費用
移住の費用については、移住の際にかかる費用(不動産契約や引っ越し代など)と、引っ越し後の生活費(光熱費、自治会費その他)というように分けて考えると良いかと思います。
たとえば時々「田舎のタダ同然の家をゲットしました」とか、「古民家を50万円で買いました!」というような目を引くニュースが飛び込んできますけど、快適に住むにはかなり手を加える必要があったり、いざ生活を始めてみると生活費が予想外に上昇した、ということも十分あり得ます。
ですので、物件の安さだけで選ばないようにすることが肝心かと。地域にもよりますが、東京の都心部から山々が連なる地方に移住する場合、特に光熱費の高さは覚悟するべきです。
契約時と、地方での生活費について解説します
冒頭で紹介しているように、東京ではずっと賃貸マンション住まいで、光熱費はさほどではないものの、家賃の高さに頭を痛めておりました。コロナ禍がダメ押しになって今回移住を決めたわけですが、移住先も都会っぽさが残る似たような環境であったら意味がないので、見える景色は山と畑という環境を敢えて選びました。
大まかな金額は次の通り。
契約と引っ越しまで
・不動産購入費用:省略(物件によって幅が広すぎるので、ここでは省略します)
・仲介手数料:不動産会社に支払う手数料で、これも物件に大きく左右され、具体的な金額は省略。参考までに当方が利用した不動産会社の手数料体系は、「購入価格の3%+60,000円+消費税」でした。
・行政書士費用:約120,000円。所有権移転手続きのため。おそらく物件価格によって変動せず、一律の金額かと。後日、不動産登記簿などが郵送されてきます。
・固定資産税:それまでの所有者さんとの話し合いで、日割りで残金を所有者さんへ支払います。物件の条件・価格によって大きく税額が変動します。
・その他:収入印紙代(1,000~4,000円程度)、引越し代(不動産会社の紹介だと通常より安くなる場合あり)、不用品処分費用(もし必要であれば)
引越後の生活費
・自治会費:地域によって大きな差アリ。自分の住んでいる地域周辺は、年10,000円前後の所が多いようです。
・光熱費:真冬の例だと、驚愕の40,000円超え。ガスは都市ガスではなくプロパンガスになって、大きく上昇。新たにガスと石油ストーブも使うようになり、電気代も合わせると、東京に住んでいた頃の2倍前後。ただし、水道代は以前と同じか若干安い。
・浄化槽代:各家庭で保守・清掃会社と契約。年20,000円前後かかる。別途1〜2年に一回汚物の汲み上げ作業があり、さらに20,000円程度の支出。
・修繕費:クロス(壁紙)の全面張替え、畳の簡易張替え、外壁ひび割れの応急処置など各種リフォーム費用。物件価格の4割程度をこれらリフォーム費として別途支出。
・固定資産税:毎年一回更新。前述の通り、税額は物件によって大きく変動。
・住民税、国保:地域によって差異がありますので、省略。ちなみに自分の場合は、移住して「増えた」という印象はなし。
・その他:10年程度のサイクルで外壁塗装が必要らしい。聞いたところでは都度80万円前後が目安とか(家の大きさによる)。当方の物件はしばらく先。
都心から地方に移住して1年半生活している私がいま思うこと
不動産契約をする際に発生した各種手数料や引越し代は、調べれば分かることなので想定内だったものの、いざ新生活が始まった際の生活費、維持費には驚いたというのが正直なところです。
特に冬の時期の光熱費の高さは尋常ではなく、一年以上経った今も、光熱費を抑える工夫や情報収集に余念がありません。
密閉性の高いマンションとは違って、中古の戸建だとすきま風が結構入ります。また、面積も広くなったので、暖めるためのエネルギーもより必要なのでしょう。
維持費では、浄化槽契約や定期的な外壁の塗替えというのもお恥ずかしながら全く知りませんでしたし、雨漏り、害虫発生時の費用も突発的に発生します。車も田舎では2台持ちが普通なので、ガソリン代などの経費も頭に入れておく必要があります(駅近に住んで台数を減らすのもアリ)。
リフォームについては、住む人それぞれの考え方によりますので、移住に際して必ず必要になるわけではありません。業者選びが難しいという問題もあります。当方はお風呂など水回りを全て交換しましたけど、業者に頼まずに自分たちでコツコツ修繕・改造するという方法もあるでしょう。
良い意味でのハプニングだったのは、畑で野菜を育てることができたことです。土いじりなどしたことがなかった自分が、この一年半の間でほうれん草やナス、オクラ、じゃがいも、ブロッコリーなどを育て、そして美味しく食べています。近所の方から同じように畑の野菜を頂くことも普通にありますので、食費は若干節約できています。
いずれにせよ、「田舎生活=安い」という先入観から移住を決めてしまうと後悔する可能性が高い、というのが現在の心境です。いざ移住してみたら、都心に住んでいた方がむしろ安くついた、なんてことも起こりえるのですから。