【書評】『ゼロ』成功への近道なし!まずは掛け算ではなく足し算を。

ビジネスマン
今の仕事がつまらない

フリーター
何がやりたいか分からない

学生
最短で成功するにはどうすればいいか?

どれも、かつて自分が悩んだことであり、このうちいくつかは現在進行形だったりします(汗)。

これら3つとも表現は違えど、本質的な部分は「仕事とは何か?」「働くとはどういうことなのか?」を考えることではないかと思えます。

今回ご紹介する本、『ゼロ なにもない自分に小さなイチを足していく』(堀江貴文著/ダイヤモンド社)の中には、これら仕事にまつわる問いに対する答えが詰まっており、本記事によって「一歩を踏み出せない悩み」は解消していくはずです。

本書を読むことで、何歳からでも「自分は変われる」。ぜひ、最後までお読み頂ければと思います。

『ゼロ』を読んで分かること
・いまの仕事が楽しくなる
・これまで躊躇していた「一歩」が踏み出せるようになる
・成功する道筋がわかる

『ゼロ なにもない自分に小さなイチを足していく』の学びと要約

何かを始めようという時、掛け算ではなく足し算を意識する

人は、成功への近道を知りたがる。でも、何もない状態、つまり自分がその分野で経験も知識もない状態の時、0に何を掛けてもゼロにしかならない。ショートカット=掛け算で進められるようになるにはもっと先の話であり、経験や知識、人脈などができてから。
ゆえに、最初は「1」をコツコツ積み重ねていくしかない。ラクして成功はできず、そこにこだわっている限りうまくいかない。
堀江さんは、若者からよく聞かれるという「最短で成功するには?」という問いに答えるような形で、「成功への近道なし」と語っています。

チャンスを見極める必要はない

チャンスは誰にでも平等に訪れる。チャンスが目の前に現れた時、動くかどうか迷う、あるいはチャンスの見極め方が分からない。
そういう声もよく聞くけれど、堀江さんは「チャンスを見極める目なんて、必要はない」と断言してします。つまり、少しでもオモシロイと思ったら、躊躇せず飛び込む。あれこれ複雑に考える必要はない、ということですね。

働くとは、「なにかを我慢すること」ではない

たとえば、「宝くじで大金を当てたら、会社を辞めて南の島でのんびりする」という世の中の声がある。そう考える人は多いのかもしれない。
堀江さん自身も、「すでに使い切れないほどの大金を稼いだでしょうし、リタイアすれば」と言われることも多いとか。しかし、堀江さんはこう言われる意味が分からず、世の中の人の多くは、お金を稼ぐために仕事をする。つまり、仕事とは単にお金を稼ぐための手段にしかなっていないのでは?と考えます。
もちろん、人生のある時期、例えば学生の時に学費や食費を賄うためにアルバイトをするとか、お金のために働くという場合ももちろんあるだろうけど、社会に出て働くとは一体どういうことなのか、あなたはなぜ働くのかをじっくり考えて欲しい。そう堀江さんは言います。
本当は嫌でも、お金・給料のためにその仕事を続ける。会社を辞められない。人生の多くの時間を投じているであろう仕事が我慢の場になっているのであれば、それは「間違っている」として、堀江さんはこの問題にさらに言及していきます。
どうしてそんなに仕事がイヤなのか。結局のところ、多くのビジネスマンは仕事に費やす時間をお金に換えているから。そうではなく、自身の労働自体をお金に換える行為が働くということでは?と言う堀江さん。
たとえば会社で働く自分は時間以外に何を会社のために差し出せるか。給料は時間に応じてもらうものではなく、「稼ぐもの」。時間しか提供できないところが根本的に間違っている。
「儲けるために働くのではなく、お金から自由になるために働こう」。堀江さんの言葉が心に刺さります。

やりがいは見つけるものではなく、自分で「つくる」もの

「やりがいのある仕事をしたい」。就職活動中の学生や、転職を考える若いビジネスマンから必ずといっていいほど聞く言葉だという堀江さん。
やりがいとは見つけるものではなく、自らの手で「つくる」ものというのが堀江さんの考え。
ある作業をどうやったら早く終わらせることができるかなど、どんな仕事でも、工夫をすることで何かしらやりがいを見出すことはできる。堀江さんもご自分の経験として、服役していたころの刑務作業を例に挙げてその辺のことを説明しています。
自分の頭で考える、工夫をするというところがミソで、「仮説を立て、実践し、試行錯誤をくり返す」。自主的に動いてそうすることで、それはもはや(会社から)与えられた仕事ではなくなり、「つくり出す仕事」に変わっていくと堀江さんは言います。

仕事が好きになる方法は、○○

人が物事を好きになっていくプロセス、それは「没頭」すること。
仕事に当てはめて考えると、たとえば営業に没頭したら、結果的に仕事が好きになった。このように最初に「没頭」がくることで、その物自体が好きになっていくというプロセスを理解すること。
なので、仕事が好きになれないという場合は、日々の仕事の中で没頭できる何かをまず見つける。そこを突破口とすれば、仕事が好きになっていくようです。
とはいえ、趣味や遊びでしていることとは違って、いざ仕事となると没頭できない、没頭できるものが見つからない、ということもあるでしょう。むしろその場合の方が多いかもしれない。
そういう時はどうしたら良いか、堀江さんの答えは明確です。すなわち、「自分の手でルールをつくること」。ある作業を〇分以内に済ませると決め、その目標を達成するには工程をどのように工夫すればいいか。あるいは、その先にある目標のために今の仕事をしているのであれば、今の仕事で結果を出さなくてはいけないし、そのために仕事の中身を試行錯誤できるはず。
ルールづくりの際に「遠くを見ない」と意識すれば、没頭→仕事が好きになるという流れになる。今日一日の中で何とか達成可能なノルマなり目標を設定し、それを毎日クリアーしていく。確かに、それを一年やってみろと言われると大変でしょうが、「今日一日」というレベルならなんとかなりそうです。

「やりたいことがない」という意識の後ろにあるもの

「自分はやりたいことがなく、就きたい仕事がない」。講演会などで質疑応答の時間になると、学生からこう言われることがあるという堀江さん。

果たして本当に、あなたにはやりたいことがないのだろうか?

若者のこの言葉に堀江さんは疑問を投げかけ、自分自身に問いかけると本当はやりたいことがたくさんあっても、無意識にブレーキをかけているのではないか。ブレーキになっているもの、それは「自分にはできっこない」という諦めの感情。
やってみたいことがあっても、どうせ自分にはできそうにないし。。。というように行動する前から諦めている。そういう「できっこない」が何度も積み重なって、「やりたいこと」が浮かんでこなくなるのだと堀江さんは言います。
そうであるから、まずは「自分はできっこない」という心のフタを外すことから始めてみるのが大事だとのこと。

お金より大切なものとは?

そもそもお金と何なのか?という問いに対して、堀江さんの答えは「信用を数値化したもの」。
たとえば紙幣に価値があるのは、人々が日本が潰れるはずはない、という信用・信頼を持っているから。
仮にお金がなくても、自分がピンチの時は友達が食事をご馳走してくれたり、家に泊めてくれることもあるはず。それはひとえに、自分に信用があるから。
起業する場合でも、自分に信用があれば融資を受けることだってできる。
でも逆に、信用をお金で買うことは難しいと堀江さんは言います。
なので、自分が本当に追い込まれたときに助けてくれるのはお金ではなくて、「信用」。ここでも、信用の「ゼロからイチ」をコツコツ積み重ねていくことが大事だとのことです。

読了後の感想

この本は、これまでほとんど語られることのなかった(?)堀江さんの幼少期のエピソード、そして収監中の心の動きが赤裸々に書き連ねられていて、読むのが辛くなる箇所もいくつかありました。堀江さんの違った一面、いや本当の堀江さんを知ることができる、そんな内容だったように感じます。
私は当初、オーディオブックで聴き、あまりに感動したので書籍をあらためて購入しました。自分にとって心に刺さる言葉がてんこ盛りで、この本を要約する必要などないのでは?と思えるほど。すべてのページに付箋を貼りたくなるような、そんな本です。
今回は触れませんでしたが、「自立すること」に関する言及があり、自分にとって深く考えさせられる内容でした。
本の装丁も印象深いものでした。全面真っ白で、堀江さんが書きものをしている写真が添えらていて、本のタイトル通り「ゼロから積み上げていく」というメッセージが伝わってきました。

この先ずっと手元に置き、何度も読み返すことになるでしょう。ありがとう、堀江さん。

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